BELL復刻500TXJ加工リペア
- 2015年07月22日
- Blog HELMET REPAIR
先日ブログにてヘルメットについて少し熱く書きましたが今日も熱いです。
今日は写真多いです。リペアブログです。
自分でやってみようという方には結構参考になると思います。
(色んなやり方あると思うのでこれらは当店流ですので全部を鵜呑みにしないでくださいね)
先日ついに発売された500TX復刻ジェットが発売されました。
その名も500TXJ。
ビンテージの10万、いやそれ以上するヘルメットの王様500TXの復刻です。
ヘルメットのマニアの僕が期待しないはずがありません。
しかし昨日、某ハーレーのディーラー様より1本のお電話。
お客様が500TXJを買ったけとかぶれないので加工してください、と。
ん?そんなにサイズが合わないのを買ってしまったのかな、
基本新品ヘルメットは受け付けてませんが実物を見た事なかったので
是非やらせてくださいという事でお受けしました。
そして本日早朝に届きました。
あ、あれ?
500TXの形じゃないぞ?
発泡も分割じゃないぞ?
あ、XLのシェルなのかな?いやMと書いてある。
とりあえずかぶってみよう。Mと書いてあるし僕の頭Mだしどんな感じだろう。
え?きつくて入らない。ほっぺ見てください押しつぶされる。
そんな僕お顔デブじゃないはず。
頭も大きくありません。頭囲は58cmですが頭で言うと小さい方です。
それでも入口入りません。
無理やり入れてもここで止まります。
そして激痛。
なるほど。嫌な予感がだんだんしてきました。
期待していたヘルメットなだけにあまりにもショックだったので
ここはリペア職人の意地です。
待たせてる方には申し訳ありませんがイッキに順番ぬかしをして1日で仕上げます。
そしてその日の夜にブログに書くとここで決めました。
まずはバラします。
毎日最低3つはバラします。
これを5年以上やってます。何百個、何千個とバラしてるので一瞬でバラします。
最初についてたスポンジに2mmのタグ。
たった2mmで頭のホールドが出来るのか。
でもこれ仕方がないのです。SG規格とるには発泡スチロールの厚みが必要です。
それでシェルを小さくするなら(これは小さくないですが)スポンジペラペラにしないといけません。
開発者様もSG規格との葛藤が相当あったと思います。お気持ちはよく分かります。
でも500TXの復刻なんでしょ。すみません今日は熱く語ります。
そしてスポンジをはぎ取ってゴミ箱へ。
削り作業は写真取れませんので削り後の写真です。
ぱっと見違いが分かりませんが恐ろしく削ってます。
工具で大体削ってあとはひたすら手作業です。
毎日削ってますのでこれもちょちょいと数分でやってしまいます。
当然ですがこの時点で、いやバラした時点でSG規格は意味のないものになります。
(当然オーナー様承諾済み)
と言ってもまたウンチクですがSG規格があるから保険がとか警察とかないんですけどね。
ただ「堂々と売れる」「堂々と雑誌で宣伝掲載できる」これだけだと思います。
(違ったらご教授お願いいたします)
10mmスポンジで型と取ります。
奥にあるのはBUCO TRAVELERの内装です。
素人ではないので当然作業は同時進行です。
スポンジは10mm厚に拘ります。5mmと10mmではフィット感が天と地の差があります。
フィット感はいい方がいいに決まってます。
5mmスポンジのほうが深くかぶれるので5mmにしてくださいとたまに言われますが
それはしっかりハチの加工が中途半端な時であってしっかり発泡スチロールを仕上げれば10mmの方がフィットするし
気持ちがいい。僕は「かぶり心地」に重点を常に置きます。
(削りに限界があるときは5mmを使う時もあります)
そしてそれと、適度に伸びる日本製のニット生地にてミシンで縫います。
ただ縫うだけでは「アール」がありますので組み込んだ時にシワができます。
それを考えながら縫います。
そしてそれを先ほどの発泡スチロールに組み込みます。
シワなし。自画自賛。
少し巻き込むように組み付けることによって硬い発泡スチロール部全てを覆いかぶせれます。
巻き込み仕上げというやつです。これも僕のこだわりです。
脳天には5mmの楕円スポンジを貼ります。
ここは分厚すぎると深さの邪魔をするので研究の結果5mmがベストです。
それをシェル本体に組み付けます。
その時にこのように「点」で特殊接着剤を付けます。
べっとりつけると次のリペア時に発泡スチロールが外せません。
次バラす事も考え、「適度に」固定します。
間違っても脳天の一番上にボンドはつけません。
僕がメーカーなら脳天に付けますが僕は仕事上バラすことを考えるからです。
組み込みました。
この時にセンターがずれないように位置合わせに手を抜いては行けません。
イヤーパッドのドットボタンの取り付けが気に入らなかったので付け直しました。
その前に本家500TXにこんなボタンはありません。
復刻と言うのであれば無しでよかったのではないでしょうか。
しかしシェルの材質見てわかる通りかなりしっかりしてます。
その分重いですがここはさすがです。
このボタン。
最初のは弱かったのでイギリスから取り寄せてるしっかりと硬いボタンに変更しました。
おでこ3つも本当は変えたかったのですがそこまでは「余計」と判断し交換しませんでした。
このボタンは弱いと、バイザーを取ったりつけたりの繰り返しで変形していきます。
硬いものがベストですがコストの都合上でしょうか、最初から硬いのついたヘルメットは見た事ありません。
ちなみに手芸店で普通にかえるボタンは回りにブツブツがあって非常にカッコ悪いので絶対ヘルメットには使いません。
次はイヤーパッド
幅があんなに狭いのに純正のイヤーパッドはなぜか極厚。
これではほっぺが押しつぶされるにきまってます。
このヘルメットデザインした人は試着したのでしょうか。
嫌味ではないです。僕自身期待していたヘルメットなのでとにかくショックなのです。
特殊な厚紙で型を取ります。
スリットを入れることによってアール部分に対応できます。
20mmスポンジですが薄めにカットします。
ミシンで縫っていきます。
ミシンで思い出しましたが今週土曜に極厚なんでも縫える工業用ミシン導入されます。
これで仕事の幅がかなり広がります。
しかし値段が、、、500TX本物が買える・・・
先ほどのスポンジを貼って
巻き込みます。
今回はレザーに拘ってもこの際しょうがないので通常のスポンジと布です。
切り口をもっと処理して、先も縫い付けます。
ストラップ固定は同じようなフラットリベット。
アメリカから輸入してます。
日本でも買えるとこあったら誰か教えてください。
ストラップ金具に入らないので穴を広げます。
ちなみに本物500TXなら広げなくても入ります。
僕が開発者なら復刻と言う以上ここも同じにしました。
この意見はマニアすぎますね流して下さい。
広げて入るようになりました。
これを特殊に加工して作ってもらったハンドプレスでカシメます。
これで完成です。
かぶってみました。オーナー様60cmなので僕には少し大きいですが眉毛のラインまでしっかりかぶれるようになりました。
かぶり口のあの極厚レザーから交換したので最初よりはスッポリかぶれます。
しかし、、、シェル自体がデカイ。
改めて正面から撮影。
ちょっとヘルメットマニアなら分かりますよね。
500TX???
どちらかと言うとDOT表記のある後期のR-TのLシェルに似てます。
今回かなり正直にウソ偽りなく書かせ頂きましたがこれはバッシングではなく
期待していたヘルメットなだけに、なんで!!!!なんで!!!と言う思いが強く
これからの期待の意味を込めてます。
しかし、結論は分かってます。
SG規格取得で小さく深くなんて今の日本では不可能です。
それが証明された形がこれです。
これをご覧になってる方に申し上げたいのは、
※かっこよく深くかぶりたいのであれば純正のままのSG規格ヘルメットでは無理という事。
これはアジア人独特のハチの出た我々の頭の形にも問題があります。
※どのメーカーもが言う「深くかぶれる」は僕にとっては深くないという事。
※安全性が第一優先なら「かっこよく深くかぶる」のは諦めるしかないという事。
そんなんどうでもいいじゃん、そこまでこだわってバカじゃねーの、と言う方もおられると思いますが
これを仕事にしている僕はここまでの思いがあって皆様のヘルメットを扱う義務があると思っております。
それでも安全も大事、でもドッキリカメラ状態は嫌だ、と言う方は今回のように加工するしかありません。
頭を守る発泡スチロールを削るわけですのでSG規格は意味のないただのシールになりますので
自己責任、いやちゃんとご自身で一線を引いてご依頼頂く必要がございます。
そこまでSG規格、安全安全、と思うならバイク乗らずに車に乗りましょう、が本音ですが笑。
これらの加工をしても当店では安全面について一切保障出来ません。
ご依頼の際はかならず自己責任にてお願いいたします。
最後に。
この復刻TXヘルメット。
かぶり心地は別として、ヘルメットとしてはとてもいいヘルメットです。
この丈夫な材質、ただのFRPではありません。
しっかり頭を守ることを考えられたヘルメットで素晴らしいと思います。ほんとです。
ただSG規格取得しないと売れない、でも本物TXに似せて、が邪魔してこうなったと思います。
でもサイズが最初から合う人もいると思います。
なのでこのヘルメットはどこかで試着されてからのご購入を強くオススメいたします。
ビンテージヘルメット興味を持ってかれこれ数年。いや10年以上。
やはりBELLの500TXは僕の中ではキングなのです。
もっと高いヘルメットもありますがやはりシルエットは500TXが僕の中ではキング。
遂に復刻が!とみなさん以上に期待しておりましたがあまりのショックで
今回このようにかなり内容の濃いブログになってしまいました。
当店は普通のヘルメット屋ではありません。
分かりやすく言うと「かっこよくかぶれるようにするヘルメット内装加工屋」です。
安全面は二の次三の次でやってるお店です。見た目、かぶり心地優先のお店です。
SGマークがないと違法になる時代が来たら当店は閉店です笑。
加工、リペア依頼ドシドシお待ちしております。
と言いつつ現在納期1ヶ月以上です。
今後とも宜しくお願いいたします。
【本日現在のリペア受付・ヘルメット製作について】
※現在リペアの込み具合納期1ヶ月くらいです(前後します)
※メール頂いても10人に1人くらいはお問い合わせ頂いてもエラーで戻ってきます。
こちらからの返信率は100%ですので返信来ない方はご自身の設定の見直しをお願いいたします。
※ビンテージ以外のヘルメットやまたビンテージでも国産やシンプソンは現在受付停止中です。
(混みが落ち着いたら再開します)
※現行BUCOのスモールジェットは例外でお受けいたします(深くかぶれないので深くかぶれるようにします)
※現行のBELL復刻500TXJのジェットも例外でお受けいたします(深くかぶれないので深くかぶれるようにします)
※フジヘルも現行ですが例外としてお受けいたします(これも深くかぶれないので深くかぶれるようにします)
※リペア問い合わせは電話ではなく写真添付とともにメールでお願いいたします。
※1980年代以降のヘルメットも現在受付停止中です。
※ヨーロッパヘルメットもリペア受付停止中です。
※NoBudz革巻きヘルメット売り切れの場合予約は受け付けておりません
※SPACE HELMET売り切れの場合予約も受け付けておりません
※急なツーリングに間に合わせないなどの特急料金設定もあります。
全てのお客様平等の為ご理解のほど宜しくお願いいたします。
NoBudz公式LINEアカウントです。
お友達登録すると月に1度お得なクーポンが届きます。
是非お友達登録してくださいね
スマートフォンから見てる方は下記クリックしたら簡単です。
プライベートphotoや新作情報はインスタで日々更新中
+ + + + + + + + + + + + + +
持ち込みリペア大歓迎です
ヘルメットリペア価格表
■半ヘル6,000円~
■ジェット8,000円~
■フルフェイス10,000円~
(削り加工・ストラップ交換・ボタン交換など全て込み)
■基本構造以外のヘルメットは+3.000円~
NO BUDZ
〒453-0856
愛知県名古屋市中村区並木1-13
TEL&FAX : 052-414-5322
MAIL : bgforever01@ybb.ne.jp
HP : https://log.nobudz.com
営業時間11:00~20:00
定休日:月曜日
+ + + + + + + + + + + + + +